自己分析が自分を知ることであれば、企業研究は相手を知ることです。ただ企業を知るためだけでなく、その企業に対する自分の興味の強さや熱意を改めて探り、確認するためでもあります。
企業研究はなぜ必要なのか?
漠然とした『やりたい』『面白そう』という気持ちの確認、具現化、裏付けを行い、自分のやりたいことや方向性を固めて自己実現に近づくための大事なプロセスです。また、いざ面接を受ける時に、自分の自己PRと企業の求めているものとが一致しているかを確かめるものでもあります。企業が皆さんのポテンシャルを探る際に、入社してからの活躍する姿をどれだけイメージできるかも重要な要因になります。今の自分に経験がなくても、将来こういった社会人になりたい、このようなキャリアを積みたいといったビジョンを持ち、その会社でどう成長していくのかを相手にイメージしてもらうために、企業研究は欠かせません。
だからといってあまり堅苦しく考える必要はありません。企業研究は就職活動の中でも楽しいワクワクする作業でもあります。どんな企業があるのか、より深く学ぶことで興味の範囲を広げることになるでしょうし、新たな自己発見につながったり、将来自分のなりたい姿をイメージできるようになったりすると思います。なんとなく浮かんだ「表面的な興味」を「確実な志望動機」に変えていく事は、働き始めてからこんなはずではなかったと後悔しないために必要なことなのです。
企業研究はどこから始めれば良いのか?
では具体的に企業研究はどのようにすれば良いのでしょうか。まずは関心のある、またはありそうな業界の中の幾つかの企業を調べてみましょう。キャリアフォーラムに参加予定の場合は、そのキャリアフォーラムの参加企業リストを見てみましょう。出展企業のプロフィールやポジションの詳細、担当者からのメッセージや選考プロセスなどを確認することができます。その中でなんとなくでも興味のある企業があれば、もう少し深くその企業について探ってみましょう。その際、事業内容や企業方針、経営戦略、またライバル会社なども調べるといいでしょう。
確認ポイント1:事業内容 最初にその企業の事業内容・プロフィールについて探りましょう。企業の提供している商品・サービスは何か、どんな市場を対象としているのかなどを把握します。次にどのような供給システムの構造になっているのか調べましょう。供給システムとは、仕入れ、生産、流通、販売までの商品・サービスの流れです。簡単に言うとその企業は何を商品(サービス)とし、どのように商品(サービス)を生産・調達して、どんなルートで商品(サービス)を消費者へ届けているのかということです。同じ業界でも供給システムはまったく違う場合があるので注意して確認しましょう。 確認ポイント2:企業方針・経営戦略 次に希望する企業が取っているビジネス方針、戦略とは何かを把握しましょう。業界の中でのユニークな商品・サービスを売りにした「差別化戦略」なのか、もしくはコストを徹底的に削減し業界で優位に立とうとする「コストリーダーシップ戦略」なのか、それともある特定の市場や製品に絞ってターゲット別に経営資源を集中させる「集中化戦略」なのか、企業のスタイル、方針がこれによって変わってきますので調べておくと良いでしょう。 確認ポイント3:特徴やライバル会社 企業研究をする際に、ライバル企業との関係を分析してみると分かりやすくなります。ライバル企業に対してどういった強み、弱みを持っているかを理解することによって、よりその企業の方針、スタイルが見えてきます。例えば業界内での競争力はどんなものか、大手がマーケットのコントロールを握っているのか、または業界内への新しいライバルや技術が入り込みやすい状況なのかを探ることで、その企業の将来性や現在の状況、特徴をとらえることができます。 |
意中の企業がどれだけ自分の想像していた通りなのか、なぜ関心があるのか、入社してからの自分を想像できるかなどは、このように企業研究をして初めて具体化され、志望動機として形になっていきます。興味のある企業が幾つかに絞られてきたら、次は自分にとって最も適している企業はどこかを考えてみましょう。
選ぶ際の項目として次のものが挙げられます。
仕事を探すにあたって、あなたにとって一番大切なポイントとは何ですか 1. 社内風土 2. 企業ブランド 3. 経営ビジョン 4. 経営状況 5. 人材力 6. 人事制度 7. 待遇・給与・賞与 8. 技術・商品の開発 9. キャリアパス |
企業研究の手段・方法
まずはインターネットで企業のホームページを見るのはもちろん、その企業や業界についてのニュースを追ったり、専門雑誌などでその企業がピックアップされている記事に目を通しておきましょう。本屋や図書館で関連する書籍を調べるのも良いでしょう。業界や企業別に詳しい対策法の本などが販売されている場合もあります。
このような資料以上に役立つのは、実際に社会に出て働いている方からお話を聞くことです。日本ではOB/OG訪問と呼ばれ、同じ大学の卒業生に連絡をとり、企業の情報をもらったり、社会人としての視点から話を聞くことがあります。しかし日本国外の場合、同じ大学で日英バイリンガルの先輩を見つけるのは難しいかもしれません。その場合、大学のキャリアセンターがAlumni Network」のリストを提供してくれたり、卒業生とのネットワークの仕方を教えてくれたりするところも多くあります。バイリンガルではなくても、自分が興味のある企業にぴったりと合った企業でなくても、様々な現場での情報は得られるはずです。
また企業が多く集まるキャリアフォーラムに参加して、セミナーを聞いたり、直接興味がある企業の担当者に質問する方法もあります。キャリアフォーラムは就職・転職活動本番の時しか参加できないわけではなく、情報収集できる機会でもあります。
企業研究を徹底して行えば行うほど自分が何を求めているのか、自分には何が向いているのか、自分の能力がどの企業で発揮できるのかが見えてきますし、自分ならではの説得力のあるPRができるようになります。それが面接の際の『熱意』となり、数多くのライバルとの差別化になるのです。
コメント
0件のコメント
記事コメントは受け付けていません。